職員インタビュー[連載1] 第3話

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第3話 京大病院 放射線部流『研究の始め方』

 

―次は、研究に関して、2年間でどんなことをしてきたのかという“歴史”が知りたい。AIを使った研究をして、昨日JRC春の総会で研究発表をしてこられたと。一般的な技師3年目よりも、一歩先を行っているように見えるんですよ。なぜそんな風になれたのかという所を知りたいです。

分かりました。そもそも研究を始めたきっかけは、木曜会です。自分の場合は、2月ごろに発表してくれと言われていたので、10月ごろに木曜会のネタを考え始めました。

当時は一般撮影の研修中だったので、そこでコーチに「何かネタないですか?」って聞いたんですよ。そしたら、「CT担当のコーチがすでにネタを用意してくれているから、話聞いてきな。」と言われまして。

話を聞きに行ったら、研究のネタを本当に用意してくれていました。

自分は大学時代の卒業研究で、機械学習に関する研究をしていたんですけど、CTのコーチがそのことを知ってくださっていたみたいで、AIを用いてスカウト画像から体重予測をするような研究アイデアを提案してくれました。そのコーチの経験として、体重が不明な患者さんの造影CTを撮った時に、体重が目測での予想よりも重く、十分な造影効果を得られなかったことがあったそうです。

それで木曜会に向けて研究をスタートした、という形ですね。

こういう予定でやっていくから、まずはデータ集めを年内12月ごろまでにしようかという話をしてもらって。データ集めの仕方も全部聞いて、地道にこつこつ集めました。1500件くらい。それが一番時間かかりました。1ヶ月くらい。データを集めた後は、ディープラーニングの研究をやるにあたって、コードを書かなきゃいけない。環境的には、MATLABが使えたんですけど。

―環境というのは?自分のPCですか?

放射線部内のパソコンです。まあまあ良い性能持ったパソコンがCT室とMRI室にあって、そこにMATLABが入っています。ただ、自分は当時プログラミング未経験だったので、MATLABのコードを書ける先輩に、コードを書いて欲しいとお願いしました。

それで、全部書いていただいて、自分も書き方を勉強して。とりあえず、もうそこで木曜会に向けて形にはなりました。だから、木曜会の発表時点で、自分がやったことは本当にデータ集めだけで、研究のネタも、デザインも、もうほんとに全部決めてもらった感じですね。

―木曜会は発表してみてどうでしたか?

木曜会は緊張しましたね。緊張しましたけど、「研究→スライド作成→発表」を経験できた、とても良い機会でした。スライド作成については、先輩方の発表を参考にしたり、コーチにも指導していただいて、良い発表ができたと思います。

―1年目の2月で木曜会が終わって、そこで「木曜会の発表は終わったし、研究は終わりや!」ともできますよね。でも、学会発表を目指して、そこからは何をして行ったんですか?

そこからはまずは、使うデータを少し変えました。最初は胸部のスカウト画像のみを使っていましたが、それを胸腹部のスカウト画像に変更しました。あと、性別と身長のデータを加えてどうなるかというのも追加して検討しました。その結果が出た後に進捗報告会がありまして。

―進捗報告会とは何でしょう?

進捗報告会は、自分の研究に関して、今取り組んでいることを報告する場です。放射線部内から、様々なモダリティのスペシャリスト達が参加してくれて、いろんな意見をくださいます。もし、何か悩みとかがあれば、相談もできるし。早い段階で、研究共同研究者とは全く違う人から意見をいただいて、軌道修正ができる。すごくいい機会でした。

その進捗報告会が、抄録締め切りの1ヶ月前くらいに、学術グループの方で企画されるので、まず、それに行きました。進捗報告会が終わって、抄録を先に出さないといけないので、JRC総会の抄録を書きました。

発表前にはもう一度、進捗報告会があって、そこでは発表スライドのチェックをしていただいて、予演会もして、学会に臨みました。で、昨日学会発表を終えて帰ってきました。

―そういえば、木曜会最優秀賞を受賞されましたよね?

そうなんです。ありがたいことに、賞をいただきました。その副賞として、学会参加費の補助をいただけたので、今回はそれを使って学会へ行ってきました。

―研究を始める段階では、学会発表まで想定していたのですか?

そうです。木曜会の発表をする段階で、学会にも出しましょうという話はされていました。木曜会→学会発表→論文化までを想定して研究を始めた形です。昨日、学会発表が終わったので、この後は英語論文としてまとめる予定です。

詳細はまだ決まってないですけど。

―引き続き頑張ってください!

ありがとうございます!

→→ ここからは、学生時代の進路選択について。  なぜ京大病院を選んだのか、聞いていきたい。

(2026年1月頃公開予定)

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